材料の音速と探触子の周波数を入力するだけで、超音波の波長をその場で計算します。超音波探傷試験(UT)で検出できる欠陥のおおよその下限、適切な周波数や探触子の選定、近距離音場(近距離音場長さ)の見積もりなどを考えるときの基礎値として使えます。
波長はλ=c÷f(音速÷周波数)で求めます。λは波長、cは材料の音速、fは周波数です。波が1回振動する間に進む距離が波長で、音速が速いほど、また周波数が低いほど波長は長くなります。MHzとm/sを混ぜると桁がずれるので、計算では周波数をHz(1MHz=1,000,000Hz)に揃えて扱います。
例えば鋼(縦波・音速5900m/s)を5MHzで探傷する場合、λ=5900÷5,000,000=0.00118m=約1.18mmです。同じ鋼を2MHzにすると約2.95mmと波長は長くなり、10MHzにすると約0.59mmと短くなります。一般に欠陥が波長の半分(約λ/2)より小さくなると反射エコーが弱くなり検出が難しくなるため、波長は分解能の大まかな目安になります。
初期値の周辺で、周波数 f(縦)と音速 c(横)の2つを変えたときに波長 λがどう動くかを並べたものです。数値はこのページの計算式で実際に算出しています。
| 周波数 f(MHz) \ 音速 c(m/s) | 2,950m/s | 5,900m/s | 8,850m/s | 11,800m/s |
|---|---|---|---|---|
| 2.5MHz | 1.180 mm | 2.360 mm | 3.540 mm | 4.720 mm |
| 3.8MHz | 0.776 mm | 1.553 mm | 2.329 mm | 3.105 mm |
| 5MHz | 0.590 mm | 1.180 mm | 1.770 mm | 2.360 mm |
| 7.5MHz | 0.393 mm | 0.787 mm | 1.180 mm | 1.573 mm |
| 10MHz | 0.295 mm | 0.590 mm | 0.885 mm | 1.180 mm |
値は本ページの計算式で算出した目安です。実際の条件によって変わりますので、細かい条件は上の計算機に自分の数字を入れて確かめてください。
Q. 波長が短いほど良いのですか?
A. 波長が短い(周波数が高い)ほど小さな欠陥を捉えやすく分解能は上がりますが、その分、減衰が大きく材料の奥まで届きにくくなります。粗い鋳鋼など散乱の大きい材料では逆に低周波(長い波長)が有利なこともあり、目的に応じた選択が必要です。
Q. 音速は何を入れればいいですか?
A. 材料と波のモードで決まります。同じ鋼でも縦波(約5900m/s)と横波(約3230m/s)では音速が異なり、波長も変わります。斜角探傷で横波を使う場合は横波の音速を入力してください。正確な値は規格や材料データシートの実測値を使うのが確実です。
Q. 波長から検出できる最小欠陥が正確に分かりますか?
A. 「波長の半分程度」はあくまで理論的な目安です。実際の検出能力は探触子の感度、減衰、ノイズ、欠陥の向きや形状にも左右されるため、最終的には対比試験片などで確認します。