真空中では B = μ₀ × H (μ₀ = 4π×10⁻⁷ H/m)
→ H = B ÷ μ₀
(B はテスラ T。本ツールは mT で入力します)
例:B=5mT → H ≒ 4000 A/m(MTレベル2過去問と一致)。強磁性体中では B=μ₀μrH(μr:比透磁率)。計算補助用です。
「H=3,000 A/m と言われても、それが何テスラなのかピンとこない」「過去問に B=5 mT と書いてあるけれど、A/m に直すと何になるのか」——磁気の計算ではこの“単位の壁”でつまずく人がとても多いところです。磁界の強さ H(単位 A/m)と磁束密度 B(単位 T・テスラ)は、真空中であれば B=μ₀H という単純な比例式で結ばれています。この換算機は、片方の値を入れるだけでもう片方を自動計算し、桁の感覚を一瞬でつかめるようにしたツールです。
主な利用者は、磁粉探傷試験(MT)レベル1・レベル2を受験する技術者、電気磁気学を学ぶ高専・大学・工業高校の学生、コイルや電磁石を扱う設計者などです。試験問題でも実務でも「A/m と T を行き来する」場面は頻繁に出てきます。本ツールは入力欄の磁束密度を mT(ミリテスラ)で扱う点だけ覚えておけば、あとは数値を打ち込むだけで使えます。
「mT で入れるのか T で入れるのか」が最も迷いやすいポイントです。試験問題が T 表記なら 1000 倍して mT に直してから入力する、と決めておくと間違えません。
真空中では磁束密度 B と磁界の強さ H は比例し、比例定数が真空の透磁率 μ₀ です。
計算例①(H から B を求める)
コイルがつくる磁界が H=4,000 A/m のとき、真空中の磁束密度は
B = 1.2566×10⁻⁶ × 4,000 ≒ 5.03×10⁻³ T = 約 5 mT。
これは磁粉探傷の過去問でよく出る「H≒4,000 A/m ⇔ B≒5 mT」という対応とほぼ一致します。
計算例②(B から H を求める)
過去問に B=2 mT(=0.002 T)と与えられた場合、
H = 0.002 ÷ 1.2566×10⁻⁶ ≒ 1,592 A/m。
逆に強い磁石の表面で B=0.5 T(=500 mT)あれば、H = 0.5 ÷ 1.2566×10⁻⁶ ≒ 約 398,000 A/m になります。Tが大きくなるほどA/mが桁違いに大きくなることが分かります。
| 磁界の強さ H(A/m) | 磁束密度 B | 参考(ガウス) |
|---|---|---|
| 100 | 0.126 mT | 1.26 G |
| 1,000 | 1.26 mT | 12.6 G |
| 2,000 | 2.51 mT | 25.1 G |
| 4,000 | 5.03 mT | 50.3 G |
| 8,000 | 10.1 mT | 101 G |
| 約 796,000 | 1 T(1,000 mT) | 10,000 G |
この表からも、A/m の値に約 1.26×10⁻³ を掛ければ mT になる、という感覚が読み取れます。
Q1. 磁束密度 B と磁界の強さ H は何が違うのですか?
A. H は電流などが「つくろうとする」磁界の源の強さ、B は媒質も含めて実際に生じている磁束の密度です。真空中では媒質の影響がないため B=μ₀H の単純な比例になりますが、鉄の中では同じ H でも B が桁違いに大きくなります。
Q2. 鉄など物質の中でもこの式で計算できますか?
A. いいえ。物質中は B=μ₀μᵣH(μᵣ=比透磁率、鉄なら数百〜数千)となり、本ツールの値とは大きくずれます。このツールは μᵣ≒1 の真空・空気を前提とした“換算と桁感覚の確認”用です。鋼材内部の磁束密度を求める用途には使えません。
Q3. ガウス(G)やエルステッド(Oe)に対応していますか?
A. 本ツールは SI 単位(T・A/m)です。手動換算は 1 T=10,000 G(1 mT=10 G)、真空中で 1 Oe≒79.58 A/m を使ってください。CGS では真空中 B(G)=H(Oe) と数値が一致するため、古い文献では両者が混同されやすい点に注意です。
Q4. MT の過去問では H=5 mT のような“mT 表記の磁界”が出ますが?
A. 厳密には磁界の強さは A/m、磁束密度が T(mT)ですが、試験では「試験面の磁界レベル」を磁束密度(mT)で示すことがあります。これは空気中で B≒μ₀H が成り立つことを利用した表現で、本ツールの mT⇔A/m 換算がそのまま使えます。
Q5. なぜ μ₀ が 4π×10⁻⁷ なのですか?
A. これは旧 SI で電流の定義(アンペアの定義)に合わせて決められていた定数で、現在は測定値ですが実用上は 4π×10⁻⁷≒1.2566×10⁻⁶ をそのまま使って問題ありません。試験でもこの値を使います。
※本ツールの計算結果は学習・概算の目安です。磁粉探傷試験の合否判定や設備設計など実務上の最終判断は、適用する規格(JIS Z 2320 など)・手順書・公的機関や専門家の確認に従ってください。