減衰係数 α(dB/mm) = ( 20log₁₀(B₁/B₂) − 拡散損失 − 反射損失 ) ÷ (2 × 板厚t)
第2底面エコーは第1より往復2t余分に進み、境界で1回多く反射するため、その差から各損失を差し引いて1往復(2t)あたりに換算します。
例:t50mm, B₁75%, B₂15%, 拡散0.4dB, 反射損失1.7dB → 約0.12 dB/mm(UTレベル2過去問と一致)。計算補助用です。
垂直探傷で健全な部分にビームを当てると、底面で反射した第1底面エコー(B₁)に続いて、もう1往復した第2底面エコー(B₂)が現れます。この2つの高さがどれだけ減ったかを測れば、材料そのものが超音波をどれだけ吸収・散乱するか、つまり減衰係数(dB/mm)が分かります。本ツールは B₁・B₂・板厚・損失を入力するだけで、UTレベル2の過去問でも問われるこの値を自動計算します。
「鋳鋼や粗大結晶粒材で底面エコーが立たず欠陥評価に困っている」「規格上の探傷感度に減衰補正(伝達損失補正)を加えたい」「資格試験で減衰係数の計算問題が解けない」——そんな現場技術者・UT受験者が、手計算の検算や考え方の確認に使うことを想定しています。
本ツールは入力方法を2通りから選べます。タブで「エコー高さ(%)」か「B₁/B₂の差(dB)」を切り替えてください。
迷いやすいのは「拡散損失」と「反射損失」を分けて入れる点です。両方とも"材料の減衰ではないのに高さを下げている要因"なので、ここを差し引かないと減衰係数が実際より大きく出ます。逆に純粋に材料同士を比べたいだけなら、両方0にして見かけの減衰として扱う方法もあります。
B₁とB₂の高さの比をデシベルに直し、減衰以外の損失を差し引いてから、余分に進んだ距離(往復1回ぶん=2t)で割って単位長さあたりの減衰量にします。本ツールの式は次の通りです。
減衰係数 α(dB/mm) = { 20×log₁₀(B₁ ÷ B₂) − 拡散損失 − 反射損失 } ÷ (2 × t)
B₂はB₁より板内を1往復(2t)多く進むので、B₁とB₂の高さ差は「2tだけ余分に伝搬した間に減った量」を表します。その差から拡散・反射といった減衰以外の損失を引き、2tで割れば、材料1mmあたりの減衰量が出るというわけです。
計算例1:板厚50mm・B₁75%・B₂15%(試験頻出パターン)
UTレベル2の過去問でよく出る値とほぼ一致します。損失を入れ忘れると 13.98÷100=0.14dB/mm となり、約0.02dB/mm 高めに出てしまう点に注意してください。
計算例2:板厚100mm・B₁80%・B₂40%・損失合計2.1dB
板厚が厚いほど距離で薄められるため、同じ高さ比でも dB/mm の値は小さくなります。減衰係数を比べるときは必ず板厚をそろえて考えるのが鉄則です。
%モードを使うとき、頭の中でdB差を見積もるのに便利な対応表です(20×log₁₀ で換算)。
| B₁/B₂ の高さ比 | dB差(損失補正前) | 覚え方 |
|---|---|---|
| 1.26倍 | 約2dB | わずかな差 |
| 2倍 | 約6dB | 2倍=6dBは丸暗記 |
| 3.16倍 | 約10dB | 10dB=約3.16倍 |
| 5倍 | 約14dB | 例1のケース |
| 10倍 | 約20dB | 10倍=20dB |
減衰係数は材質・結晶粒・周波数で大きく変わります。下表はおおよその傾向の目安で、実測値は周波数や熱処理状態で前後します。
| 材料・状態 | 減衰の傾向 | 探傷時のポイント |
|---|---|---|
| 圧延鋼・細粒の構造用鋼 | 小さい | 底面エコーが安定。高めの周波数も使える |
| アルミ合金 | 小〜中 | 音速が速く比較的通りやすい |
| 鋳鋼・粗大結晶粒材 | 大きい | 散乱で底面が弱る。低周波探触子が有利 |
| オーステナイト系ステンレス・溶接部 | 非常に大きい | 異方性で減衰・ビーム偏向が顕著。専用手法が必要 |
減衰係数が大きい材料ほど底面エコーが立たず欠陥評価が難しくなります。値が大きいと感じたら、まず探触子の周波数を下げる・口径を見直すといった対応を検討します。
Q. なぜ板厚を2倍にして割るのですか?
A. B₂はB₁より板内を「もう1往復」多く進んでいるからです。その余分な距離は行き帰りで 2t になります。B₁とB₂の差はこの 2t を伝わる間に減った量なので、2t で割って1mmあたりに換算します。
Q. 拡散損失と反射損失は必ず入れないとダメですか?
A. 厳密に「材料の減衰だけ」を出したいなら必要です。これらを引かないと、減衰以外で下がった分まで減衰に含めてしまい値が高めに出ます。逆に同一形状の試験体同士を相対比較するだけなら両方0でも傾向はつかめます。校正試験片で実測した損失値があれば、それを入れるのが最も正確です。
Q. %モードとdBモードで結果は変わりますか?
A. 同じ状況を表していれば一致します。%モードは内部で 20×log₁₀(B₁/B₂) を計算してdB差に変換しているだけだからです。現場でdBアッテネータの読みがあるならdBモード、波形の高さしか分からないなら%モードが便利です。
Q. 周波数を変えると減衰係数は変わりますか?
A. はい。一般に周波数が高いほど散乱が増え、減衰係数は大きくなります。同じ材料でも探触子の周波数が違えば別の値になるので、測定時の周波数を必ず記録してください。値を比較するときは周波数をそろえることが前提です。
Q. B₂が見えない・極端に小さいときはどうすれば?
A. 減衰が大きい材料の典型です。周波数を下げる、より大きな入力で観測する、底面の状態(粗さ・平行度)を確認する、といった対応をします。それでもB₂が読めない場合、この2エコー法は適用が難しく、別の感度補正手法を検討する必要があります。
本ツールの計算結果は概算・目安であり、考え方の確認や手計算の検算を目的としています。実際の探傷・合否判定は、適用する規格・手順書(JIS Z 3060、各社の探傷指示書など)と、有資格者の判断に従ってください。最終的な評価は社内基準・公的規格・専門家に確認することをおすすめします。