エコー高さ半減角(片側) = 70 × λ ÷ D(度)
指向角(ゼロ点) φ₀ = sin⁻¹(1.22 × λ ÷ D)
波長 λ = 音速c ÷ 周波数f
例:2MHz・φ20mm・鋼縦波 → 半減角 約10.4°(UTレベル2過去問と一致)。波長が長い/振動子が小さいほど広がります。計算補助用です。
超音波探傷(UT)で振動子から放射される超音波ビームは、レーザーのようにまっすぐ平行に進むわけではなく、ある距離から先で円錐状に広がっていきます。この「広がりの角度」を表すのがエコー高さ半減角と指向角(ゼロ点)です。半減角はエコー高さが中心軸の半分(−6dB)に落ちる片側の角度、指向角は音圧がほぼゼロになる角度を指します。探触子を選ぶとき・きずの見かけ寸法を評価するとき・有効探傷範囲を見積もるときに必ず関わってくる値で、UTレベル2の筆記試験でも「70λ/D」の計算問題として頻出します。このツールは振動子径・周波数・音速の3つを入れるだけで、教科書・過去問と同じ式で半減角と指向角を即座に求められます。
「ビームの広がりってどう計算するんだっけ」「過去問の70λ/Dの単位がいつも合わない」「振動子を大きくすべきか周波数を上げるべきか迷う」——こうした現場と受験のあるあるを、入力1つで解決するのが目的です。
円形振動子の遠距離音場では、ビームの広がりは波長 λ と直径 D の比だけで決まります。本ツールは試験・教科書で標準的に使われる次の式を採用しています。
半減角は「70λ/D」という近似式で度数が直接求まるのが特徴で、過去問でもこの形で出題されます。指向角は逆正弦(arcsin)を使うため、λ/D が大きい(低周波・小径)と1.22λ/D が1を超えてしまい、その場合はビームが極端に広く「広角」と表示されます。
例1:2MHz・φ20mm・鋼縦波(c=5920m/s)
λ = 5920 ÷ (2×10⁶) = 0.00296m = 2.96mm
半減角 θ₆ = 70 × 2.96 ÷ 20 = 約10.4°
指向角 θ₀ = sin⁻¹(1.22 × 2.96 ÷ 20) = sin⁻¹(0.1806) = 約10.4°
UTレベル2過去問の定番設定で、半減角がちょうど約10°になります。
例2:5MHz・φ10mm・鋼縦波(c=5920m/s)
λ = 5920 ÷ (5×10⁶) = 1.184mm
半減角 θ₆ = 70 × 1.184 ÷ 10 = 約8.3°
指向角 θ₀ = sin⁻¹(1.22 × 1.184 ÷ 10) = sin⁻¹(0.1444) = 約8.3°
例1より周波数が高く径は小さいですが、結果的に λ/D が小さくなりビームはやや鋭くなります。
| 周波数 / 振動子径 | φ10mm | φ20mm | φ24mm |
|---|---|---|---|
| 2MHz | 約20.7° | 約10.4° | 約8.6° |
| 4MHz | 約10.4° | 約5.2° | 約4.3° |
| 5MHz | 約8.3° | 約4.1° | 約3.5° |
表のとおり、周波数を2倍にすると半減角はほぼ半分、振動子径を2倍にしても半分になります。λ/D に反比例する関係が一目で分かります。
Q. 半減角と指向角はどう違うのですか?
A. 半減角はエコー高さが中心の半分(−6dB)まで落ちる角度で、実用上「有効に探傷できる範囲」の目安です。指向角(第1ゼロ点)は音圧がほぼゼロになる角度で、ビーム全体の広がりの限界を示します。本ツールの式では係数が異なる(70λ/D と sin⁻¹1.22λ/D)ため、小角度域では近い値になりますが意味は別物です。
Q. 70λ/D の「70」は何の数字ですか?
A. 円形振動子の−6dB半角を度数で近似するための係数です。本来は sinθ₆ ≒ 0.51λ/D(ラジアン由来)ですが、小角度では sinθ≒θ が成り立ち、0.51×(180/π)≒29 … をさらに実測指向特性に合わせた工学近似が「片側70λ/D(直径基準・度)」として試験・教科書で使われています。式の出典・係数の定義は受験する規格のテキストに合わせて確認してください。
Q. ビームを絞りたいときはどうすればよいですか?
A. 周波数を高くするか、振動子径を大きくします。どちらも λ/D を小さくして角度を下げます。ただし周波数を上げると材料中の減衰が大きくなり深部に届きにくくなるため、検出対象の深さときずサイズとのバランスで選びます。
Q. 斜角探触子のときはどの音速を選びますか?
A. 斜角探傷は鋼中を横波で伝わるので「鋼・横波(3230m/s)」を選びます。同じ周波数・径でも横波は音速が遅く波長が短いため、縦波よりビームは鋭くなります。
Q. この角度は近距離音場(N)の中でも使えますか?
A. 半減角・指向角の式が成り立つのは近距離音場限界 N=D²/(4λ) より先の「遠距離音場」です。N以内ではビームがほぼ平行で音圧も複雑に変動するため、角度評価は N より先の領域で行ってください。
本ツールの計算結果は遠距離音場・理想円形振動子を前提とした概算・目安です。実際の探傷条件の決定や合否判定は、適用する規格・手順書、および探触子メーカーの仕様データに基づいて行ってください。