目安としてご利用ください。
求人票に「年収500万円」と書いてあっても、その金額がそのまま銀行口座に振り込まれるわけではありません。額面(総支給額)からは健康保険・厚生年金などの社会保険料と、所得税・住民税が天引きされ、実際に自由に使えるのは7〜8割程度の「手取り」です。このツールは額面年収を入れるだけで、手取り年収・月の手取り・社会保険料・税金・手取り率・年間の天引き合計をまとめて概算します。転職で提示された年収を比較したいとき、家計の見通しを立てたいとき、住宅ローンの返済比率を考えたいときに、額面ではなく「実際に手元に残る額」で判断するための出発点になります。
基本の式はシンプルです。手取り年収=額面年収×手取り率で求め、そこから各項目を分解します。社会保険料は額面年収×15%(健康保険・厚生年金・雇用保険などの合計の概算)、税金の目安(所得税+住民税)は額面年収−手取り年収−社会保険料、月の手取りは手取り年収÷12、ボーナスを除いた月収目安は額面年収÷14(夏冬で計2か月分のボーナスを仮定)として計算します。
手取り率は年収帯によって変わり、本ツールは基準点300万円で80%/500万円で77%/700万円で74%/1000万円で70%を使い、その間を直線で補間(前後の率から比例計算)します。300万円以下は80%、1000万円以上は70%で頭打ちとして扱います。年収が上がるほど手取り率が下がるのは、所得税が累進課税(高所得ほど税率が高い)だからです。
計算例1:額面年収500万円
手取り率は基準点そのままで77%。
手取り年収=500万×0.77=385万円/月の手取り=385万÷12=約32.1万円
社会保険料=500万×0.15=75万円/税金の目安=500万−385万−75万=40万円
年間の天引き合計=500万−385万=115万円(額面の23%)
計算例2:額面年収600万円(500万と700万の中間なので補間)
手取り率=77−(77−74)×(600−500)÷(700−500)=77−3×0.5=75.5%
手取り年収=600万×0.755=453万円/月の手取り=453万÷12=約37.75万円
社会保険料=600万×0.15=90万円/税金の目安=600万−453万−90万=57万円
| 額面年収 | 手取り率 | 手取り年収 | 月の手取り | 年間天引き |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 80.0% | 240万円 | 約20.0万円 | 60万円 |
| 400万円 | 78.5% | 314万円 | 約26.2万円 | 86万円 |
| 500万円 | 77.0% | 385万円 | 約32.1万円 | 115万円 |
| 600万円 | 75.5% | 453万円 | 約37.8万円 | 147万円 |
| 700万円 | 74.0% | 518万円 | 約43.2万円 | 182万円 |
| 850万円 | 72.0% | 612万円 | 約51.0万円 | 238万円 |
| 1000万円 | 70.0% | 700万円 | 約58.3万円 | 300万円 |
年収300万円では天引きは約2割ですが、1000万円では約3割に達します。「年収が倍になっても手取りは倍にならない」のはこのためで、増えた分の税率が高いほど、額面アップに対する手取りの伸びは鈍くなります。
給与から税や保険料を天引きする「源泉徴収」は、じつは戦時期の1940年(昭和15年)に、戦費調達を確実にする目的で本格導入された仕組みです。もともとはドイツの制度をモデルにしたもので、国が働き手一人ひとりに徴収に行く手間を省き、会社にまとめて集めさせる方式でした。だからこそ日本の会社員の多くは自分で確定申告をせず、税金を「取られている実感」が薄くなりがちだと言われます。毎月の給与明細を眺めて「意外と引かれているな」と感じるのは、この徴収代行のしくみが今も現役だからです。
手取り率が年収とともに下がる最大の理由は、所得税の「累進課税」にあります。日本の所得税は課税所得を5%から45%まで7段階に区切り、区切りを超えたその部分だけに高い税率をかける「超過累進」です。つまり年収が上がっても全額に高税率がかかるわけではなく、増えた部分の一部が持っていかれるだけ。「年収1000万円を超えると急に税金で損をする」という俗説がありますが、税だけを見れば階段状になめらかに増えていくのが実態です。手取りが伸び悩む感覚は、税に加えて社会保険料や各種手当の頭打ちが重なって生まれるものです。
なお「額面の8割が手取り」という感覚的な目安は、独身の会社員でおおむね成り立ちますが、扶養家族が多い人ほど各種控除で税が軽くなり手取り率は上がります。逆に住民税は前年の所得に対して翌年課税されるため、退職した翌年に「収入がないのに住民税の請求が来る」というタイムラグの落とし穴もあります。手取りは一枚の給与明細だけでなく、前年・翌年とのつながりで動いていると意識しておくと、家計の見通しを大きく外しません。
Q. 年収500万円の手取りはいくら?
A. 概算で手取り約385万円、月あたり約32万円が目安です。扶養家族がいる場合や各種控除が多い場合は、これより数万円ほど手取りが増えることもあります。
Q. なぜ年収が高いほど手取り率が下がるの?
A. 所得税が累進課税で、課税所得が増えるほど高い税率が適用されるためです。社会保険料の率はほぼ一定(厚生年金には上限あり)なので、年収が増えるほど税金の割合が相対的に大きくなり、手取り率が下がります。
Q. 月収はどう見ればいい?
A. ボーナスが年2回(計2か月分)あると仮定すると、額面年収÷14がボーナスを除いた月収(額面)の目安です。実際に毎月手元に残る金額を知りたいなら「月の手取り(手取り年収÷12)」を見てください。
Q. ボーナスなしの会社でも使える?
A. 使えます。年収は1年間の総支給額なので、ボーナスの有無に関わらず手取り年収・月の手取り(÷12)の目安は同じように計算できます。ただし「月収目安(÷14)」はボーナス2か月分を前提にしているため、ボーナスがない場合は額面年収÷12で見てください。
Q. 個人事業主・フリーランスにも当てはまる?
A. このツールは会社員(給与所得者・社会保険加入)を前提にしています。フリーランスは国民健康保険・国民年金が中心で料率体系が異なり、経費計上もあるため手取り率はケースバイケースです。会社員以外の方は参考程度にとどめてください。