目安としてご利用ください。
「LEDをふわっと点灯させたい」「マイコンの電源投入時にリセットを少し遅らせたい」「ノイズをカットするフィルタを設計したい」——こうした場面で必ず出てくるのがRC回路の時定数(τ:タウ)です。抵抗Rとコンデンサ(容量C)を組み合わせると、電圧は一瞬で立ち上がらず、ある決まった速さでゆっくり変化します。その「速さ」を一つの数値で表したものが時定数で、τ=R×Cという驚くほどシンプルな式で求まります。
このツールは抵抗R(kΩ)と容量C(μF)を入力するだけで、時定数τ・63%まで充電する時間・ほぼ満充電(5τ)に達する時間・RCフィルタのカットオフ周波数(Hz)・電圧が半分になる半減期をまとめて計算します。電子工作初心者の「定数決め」から、回路設計者のフィルタ・タイマー設計、電気系資格の試験勉強まで、手元の電卓代わりとして使えます。
入力すると、メインに時定数τ(秒)が表示され、その下に63%充電時間・5τ・カットオフ周波数・半減期の内訳が並びます。RとCのどちらを変えても結果は即座に更新されるので、定数を振りながら狙いの応答時間を探せます。
基本式は τ=R×C。Rをオーム[Ω]、Cをファラド[F]で計算すると、τは秒[s]で出ます。このツールはkΩとμFで入力するため、内部では τ[秒]=R[kΩ]×C[μF]÷1000 として計算しています(kΩは10³倍、μFは10⁻⁶倍なので、掛けると10⁻³=÷1000になるためです)。
コンデンサの充電電圧は時間とともに V(t)=V₀×(1−e−t/τ) の曲線を描きます。ここから、t=τで約63.2%、t=5τで約99.3%まで充電されることが導けます。放電は逆に V(t)=V₀×e−t/τ で、τごとに約37%ずつ残っていきます。電圧が半分になる半減期は t₁/₂=ln2×τ≒0.693τ です。RCフィルタとして使う場合のカットオフ周波数(−3dB点)は fc=1/(2πRC) で求まります。
計算例1:R=10kΩ、C=100μF
τ=10×100÷1000=1秒。5τ=5秒でほぼ満充電。半減期≒0.693秒。カットオフ周波数 fc=1/(2π×10,000Ω×0.0001F)≒0.16Hz。電源リセット遅延やゆっくりした調光に向く定数です。
計算例2:R=1kΩ、C=0.1μF
τ=1×0.1÷1000=0.0001秒=0.1ms(100μs)。5τ=0.5ms。カットオフ周波数 fc=1/(2π×1,000Ω×0.0000001F)≒1,592Hz≒1.6kHz。音声帯のローパスフィルタなどに使われる典型的な組み合わせです。
| R(kΩ) | C(μF) | τ(時定数) | 5τ(ほぼ満充電) | fc(カットオフ) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 0.01 | 10μs | 50μs | 約15.9kHz |
| 1 | 0.1 | 0.1ms | 0.5ms | 約1.6kHz |
| 10 | 1 | 10ms | 50ms | 約15.9Hz |
| 10 | 100 | 1秒 | 5秒 | 約0.16Hz |
| 100 | 100 | 10秒 | 50秒 | 約0.016Hz |
| 経過時間 | 充電率(目標電圧に対して) | 放電時の残り |
|---|---|---|
| 1τ | 約63.2% | 約36.8% |
| 2τ | 約86.5% | 約13.5% |
| 3τ | 約95.0% | 約5.0% |
| 5τ | 約99.3% | 約0.7% |
Q. 時定数τとは何ですか?
A. コンデンサが最終電圧の約63.2%まで充電(放電なら約36.8%まで低下)するのにかかる時間です。回路の応答の速さを一つの数値で表す指標で、τが大きいほど変化がゆっくりになります。
Q. なぜ「満充電」が5τなのですか?
A. 指数関数なので理論上は無限に近づくだけで100%には到達しません。ただし5τで約99.3%、実用上はほぼ満充電とみなせるため、現場では「5τで完了」と扱うのが慣例です。精度が必要なら7τ(約99.9%)まで見る場合もあります。
Q. カットオフ周波数とは何で、何に使いますか?
A. RCフィルタで信号が約−3dB(電圧で約70.7%)まで減衰する境目の周波数で、fc=1/(2πRC)で求まります。ローパスフィルタならこれより高い周波数を、ハイパスならこれより低い周波数を通しにくくします。ノイズ除去や音声・センサ信号の帯域制限に使います。式はローパス・ハイパスで共通です。
Q. 同じτでもRとCの組み合わせはどう選べばいいですか?
A. τが同じでも、Rが大きいと充放電電流が小さくなり省電力ですがノイズに弱く、入力インピーダンスの影響を受けやすくなります。逆にCを大きくすると電流が増えます。一般には数kΩ〜数百kΩのRと、入手しやすい標準容量のCを組み合わせ、Rを微調整して狙いのτに合わせると設計しやすいです。
Q. 充電と放電で時定数は変わりますか?
A. 充放電に同じ抵抗を通る回路ならτは同じです。ただし充電と放電で別々の経路(別の抵抗)を通る回路(例:ダイオードで充放電パスを分ける場合)では、それぞれの抵抗値でτが変わります。