値下げ後に同じ利益を確保するには、あと何個多く売る必要がある?
概算の目安です。実際の需要増加は保証されないため、値下げによる販売数増加の見込みは別途ご検討ください。
「3,000円の商品を300円下げれば、もっと売れるはずだ」——値下げの判断はこの期待だけで決まりがちです。しかし値下げで削られるのは売価の1割ではなく、1個あたり利益の丸ごと一部。利益1,000円の商品を300円下げれば残るのは700円で、3割が消えます。同じ月間利益を守るには、その分だけ多く売るしかありません。この計算機は売価・1個あたり利益・月間販売数・値下げ額の4つで、必要な販売数と増加率を出します。セール前に「その数量は届くのか」を確かめるそろばん役です。
考え方は「元の月間総利益を、薄くなった1個あたり利益で割る」だけです。
計算例①:売価3,000円・利益1,000円・月100個・300円値下げ
値下げ後の1個利益=1,000 − 300 = 700円。元の総利益=1,000 × 100 = 100,000円。必要販売数=100,000 ÷ 700 = 142.86 → 切り上げて143個。増加率は(143 − 100)÷ 100 = +43%。売価は10%しか下げていないのに数量は4割増が条件——値下げの非対称さです。売価2,700円、利益率は700 ÷ 2,700 = 25.9%まで落ちます。
計算例②:同じ商品を900円値下げ(30%OFF)
残る1個利益は100円だけ。必要販売数=100,000 ÷ 100 = 1,000個で増加率+900%。月100個を10倍売る計画が非現実的なら、これは「利益を捨てる決定」だと数字が告げています。値下げ額が1個利益と同額なら利益は0円で、ツールは「計算不可」と表示します。
増加率は粗利率と値下げ率の2つで決まります(増加率=値下げ率 ÷(粗利率 − 値下げ率))。自社の粗利率の行を横に読みます。
| 粗利率\値下げ率 | 5%下げ | 10%下げ | 15%下げ | 20%下げ |
|---|---|---|---|---|
| 粗利率10% | +100% | 利益0で不可 | 赤字 | 赤字 |
| 粗利率20% | +33.3% | +100% | +300% | 利益0で不可 |
| 粗利率30% | +20.0% | +50.0% | +100% | +200% |
| 粗利率40% | +14.3% | +33.3% | +60.0% | +100% |
| 粗利率50% | +11.1% | +25.0% | +42.9% | +66.7% |
表を斜めに見ると「+100%」が一直線に並びます。ここから「値下げ率が粗利率の半分に届くと、必要販売数は2倍になる」という関係が読み取れます。薄利の商品は5%下げただけで数量を1.3〜2倍にしないと元が取れず、粗利率50%なら10%OFFでも+25%で足ります。同じ「10%OFF」でも粗利率次第で難易度が違うのです。
初期値のまま値下げ額だけを動かした結果です。増加率は直線ではなく後半で急に跳ね上がります。
| 値下げ額 | 1個利益 | 必要販売数 | 増加率 | 後の利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 100円 | 900円 | 112個 | +12% | 31.0% |
| 300円 | 700円 | 143個 | +43% | 25.9% |
| 500円 | 500円 | 200個 | +100% | 20.0% |
| 900円 | 100円 | 1,000個 | +900% | 4.8% |
増加率に合格ラインはありません。軸は「その増加率を過去に達成したことがあるか」です。なお必要販売数が倍になれば仕入額もほぼ倍で、資金の余裕も一緒に問われます。
もう一つ有効なのが逆算です。先に「増やせそうな販売数」を決め、その数量で元の利益に届く値下げ額を探します。月120個まで伸ばせるなら必要な1個利益は100,000 ÷ 120 = 833.3円。下げられるのは約166円まで(1個利益834円で必要120個)です。目標利益から売価を組み立て直すなら損益分岐の販売価格も併用してください。
Q. 「1個あたり利益」には何を含める?
A. 売価から差し引く変動費すべてです。仕入原価、販売手数料、決済手数料、送料、梱包資材、返品見込み分まで引いた額を入れます。家賃や人件費のような固定費は乗せません。値下げしても固定費は変わらないためです。
Q. 手数料が売価の何%という契約なら、値下げで手数料も下がるのでは?
A. その通りで、実際の利益減はやや軽くなります。値下げ後の売価から手数料を再計算し、利益の差額を「値下げ額」に入れてください。売価3,000円・手数料10%の商品を300円下げると手数料は300円→270円なので実質の利益減は270円。この値なら必要販売数は137個(+37%)です。
Q. 増加率を達成できたら値下げは成功?
A. 月間利益は守れますが、それだけでは足りません。数量が増えれば発送・在庫・問い合わせ対応も増え、手間あたりの利益は薄くなります。「同じ利益をより多くの労力で稼いだ」状態でないか振り返ってください。
Q. 「計算不可」と出ました。
A. 値下げ額が現在の1個あたり利益と同じか上回っています。売るほど利益が減るため、数量が伸びても元には戻りません。値下げ額を小さくするか、原価の見直しへ切り替えます。
Q. 値上げの影響も同じ考え方で見られる?
A. 考え方は同じで符号が逆です。粗利率30%の商品を10%値上げすると1個利益は約1.33倍で、単純計算では販売数が25%落ちても元の利益を維持できます。