チェーンソー、刈払機(草刈り機)、ブロワ、発電機、農機具、古い原付バイクなど――これらの2ストロークエンジンは、ガソリンに専用オイルを混ぜた「混合ガソリン(混合燃料)」で動きます。4ストロークの車やバイクのようにエンジンオイルを別タンクで循環させる構造を持たないため、燃料そのものにオイルを溶かし込み、燃えながらエンジン内部を潤滑するのが2ストの仕組みです。この調合を間違えると、オイル不足で焼き付き(ピストン固着)を起こして一発でエンジンが壊れることもあり、逆に入れすぎても白煙やプラグかぶりで不調になります。
このツールは、用意したガソリンの量と混合比(25:1・50:1など)を入れるだけで、加えるべき2サイクルオイルのミリリットル数を即座に表示します。シーズン初めに久しぶりに刈払機を出してきた人、ホームセンターでオイルを買ってきたものの何mL入れるか迷っている人、毎回スマホの電卓で割り算している現場の人に向けた実用ツールです。
迷いやすいのは「比率の左右どっち?」という点です。必ず大きい数字がガソリン、1がオイルです。50:1のほうが25:1よりオイルが少なく(薄く)、数字が大きいほどオイルの割合は減ります。「50のほうが濃い」と勘違いしてオイルを入れすぎないよう注意してください。
混合比「ガソリン : オイル = N : 1」は、ガソリンN(容量)に対してオイル1(容量)の割合という意味です。必要なオイル量はガソリンの体積をそのまま比率で割って求めます。
オイル量(mL) = ガソリン量(L) × 1000 ÷ 混合比N
1L=1000mLなので、ガソリンのリットル数を1000倍してmLに直し、比率の数字Nで割るだけです。電卓ひとつで暗算もできます。
計算例1:ガソリン2Lを50:1で作る場合
2 × 1000 ÷ 50 = 40mL。携行缶のガソリン2Lに、付属の計量カップで40mLのオイルを加えれば完成です。
計算例2:ガソリン5Lを25:1で作る場合
5 × 1000 ÷ 25 = 200mL。同じ5Lでも50:1なら 5 × 1000 ÷ 50 = 100mL なので、25:1は50:1のちょうど2倍のオイルが必要だと分かります。
逆算(オイル量からガソリン量を求める):手元にオイルが100mLしかなく25:1で使い切りたいなら、ガソリン量(L) = オイル量(mL) × N ÷ 1000 = 100 × 25 ÷ 1000 = 2.5L のガソリンを用意すればちょうど使い切れます。
よく使う組み合わせの必要オイル量(mL)をまとめました。数値は計算上の理論値です。
| ガソリン量 | 25:1 | 40:1 | 50:1 | 100:1 |
|---|---|---|---|---|
| 0.5L | 20mL | 12.5mL | 10mL | 5mL |
| 1L | 40mL | 25mL | 20mL | 10mL |
| 2L | 80mL | 50mL | 40mL | 20mL |
| 3L | 120mL | 75mL | 60mL | 30mL |
| 5L | 200mL | 125mL | 100mL | 50mL |
| 10L | 400mL | 250mL | 200mL | 100mL |
| 20L | 800mL | 500mL | 400mL | 200mL |
混合比は必ずエンジン側(機械)の指定に従うのが大原則です。オイルの缶に「50:1〜100:1対応」と書いてあっても、エンジンが25:1指定なら25:1で作ります。大まかな傾向は次のとおりです。
どうしても指定が分からない場合、汎用の刈払機・チェンソーなら25:1で作っておけば潤滑不足による焼き付きは避けやすい、という考え方もあります。ただしこれは緊急避難的な目安で、最終的には必ずメーカー・販売店に確認してください。
Q. 混合比が分からないときはどうすればいい?
A. まずエンジン本体に貼られたラベル(タンク付近やリコイルスターターのカバーに「MIX 50:1」などと表示)を確認します。なければ取扱説明書、それも無ければ型番でメーカーサイトを検索してください。判断できないまま勝手に薄くする(50:1など)のは焼き付きリスクが高いので避けます。
Q. オイルを多め・少なめに入れるとどうなる?
A. 少なすぎ(オイル不足)が最も危険で、潤滑が足りずピストンが焼き付いてエンジンが壊れます。多すぎる分には焼き付きリスクは下がりますが、白煙が増える・マフラーやプラグにカーボンが溜まる・プラグがかぶって始動しにくくなる、といった不調が出ます。指定比率ぴったりが基本です。
Q. 作った混合ガソリンはどのくらい保存できる?
A. ガソリンは時間とともに劣化し、混合燃料はさらに劣化が早いとされます。目安として作ってから1か月程度で使い切るのが望ましく、長くても数か月以内に。シーズンオフに残った混合燃料を翌年そのまま使うのは始動不良や不調の原因になります。使う分だけ作るのが鉄則です。
Q. 4ストローク用のエンジンオイルや車のオイルで代用できる?
A. できません。2サイクル専用オイルは燃焼室で一緒に燃えることを前提に作られており、4スト用オイルでは燃え残りやカーボン堆積を招きます。必ず「2サイクル用」「2ストローク用」と明記されたオイル(FB・FC・FD等の規格)を使ってください。
Q. ハイオクと書いてある機械もあるけど、レギュラーでいい?
A. これも機械の指定に従います。多くの刈払機・チェンソーはレギュラーで問題ありませんが、一部の高圧縮エンジンはハイオク指定です。指定外の燃料はノッキングや出力低下を招くことがあるため、取扱説明書を確認してください。
※本ツールの計算結果は目安です。実際の混合比・燃料・オイルの選定は、必ずお使いのエンジンの取扱説明書とメーカー指定に従ってください。判断に迷う場合は販売店・メーカーへご確認ください。