脚長とのど厚を相互換算(のど厚=脚長×0.707)
等脚すみ肉溶接では のど厚 a = 脚長 S × cos45° = S × 0.707。逆に必要なのど厚から脚長 S = a ÷ 0.707 ≒ a × 1.414 を求められます。
すみ肉溶接(隅肉溶接)の図面を見ると、ある図面では「S6」のように脚長(サイズ)で指示されているのに、強度計算の資料では「のど厚 a」を使って許容応力を出しています。「脚長6mmはのど厚にすると何mm?」「強度計算で必要なのど厚が4.2mmと出たが、図面には脚長で何mmと書けばいいのか」——この食い違いに迷うのは、設計者・施工管理・溶接検査員・機械や鉄骨を学ぶ学生に共通する場面です。本ツールは脚長とのど厚を0.707という固定係数で双方向に即変換し、図面チェックと強度確認の橋渡しをします。
等脚すみ肉溶接の断面は、直角をはさむ二辺が脚長に等しい直角二等辺三角形とみなせます。のど厚とは、その直角の頂点から斜辺(外側の溶接面)へ下ろした垂線の長さです。直角二等辺三角形では、この垂線は脚長の cos45° 倍になります。
係数 0.707 は 45° の三角形に由来する固定値で、脚長の大小によらず一定です。だからこそ「のど厚は脚長のおよそ7割」という暗算が現場で通用します。
計算例1:脚長6mmののど厚を求める(脚長→のど厚)
a = 6 × 0.707 = 4.242 ≒ 4.24mm。図面に「S6」とあれば、強度計算には約4.24mmののど厚を使います。約7割(6×0.7=4.2)という暗算ともほぼ一致します。
計算例2:必要のど厚5mmから脚長を逆算する(のど厚→脚長)
S = 5 ÷ 0.707 = 5 × 1.414 = 7.07mm。割り切れないので実務では切り上げて脚長7mm以上(多くは8mm)を図面指示にします。端数を切り捨てるとのど厚不足になるため、逆算時は必ず切り上げる点が要注意です。
| 脚長 S(mm) | 理論のど厚 a(mm) | 暗算(脚長×0.7) |
|---|---|---|
| 3 | 2.12 | 2.1 |
| 4 | 2.83 | 2.8 |
| 5 | 3.54 | 3.5 |
| 6 | 4.24 | 4.2 |
| 8 | 5.66 | 5.6 |
| 10 | 7.07 | 7.0 |
| 12 | 8.49 | 8.4 |
| 15 | 10.61 | 10.5 |
暗算列(×0.7)は理論値よりわずかに小さく出るため、現場での当たりをつける概算にとどめ、強度計算には0.707(または本ツールの値)を使ってください。
脚長は「強度が出る最小限」を狙うのが原則です。小さすぎれば必要のど厚を満たせず、大きすぎれば入熱増による変形・ひずみ・溶接コスト増を招きます。母材板厚との関係で見当をつける際の一般的な目安です。
Q. 図面は脚長とのど厚どちらで指示しますか?
A. 日本の溶接記号では脚長(サイズ)での指示が一般的です。一方、許容応力などの強度計算はせん断に実際に効くのど厚で行うため、両者の換算が必要になります。本ツールはその往復に使います。
Q. 「理論のど厚」と「実際のど厚」は違うのですか?
A. 本ツールが出すのは余盛りを含まない理論のど厚です。実溶接では余盛り分だけ実際のど厚が増えますが、強度計算では安全側に立って理論のど厚を用いるのが基本です。余盛りを設計上の強度に算入しないのが通例です。
Q. 左右の脚長が違う不等脚でも使えますか?
A. 本ツールは等脚専用です。不等脚(脚長 z1・z2 が異なる)では、のど厚は三角形に内接する垂線 a=(z1×z2)÷√(z1²+z2²) で求まり、0.707を一律に掛ける式は使えません。別途算出してください。
Q. のど厚から脚長を逆算したら端数が出ました。切り上げ・切り捨てどちらですか?
A. 必ず切り上げます。切り捨てると必要のど厚を下回り、強度不足になります。例えばのど厚5mm必要→脚長7.07mmなら、図面指示は7mm(より確実には8mm)にします。
Q. なぜ係数は0.707なのですか?
A. 等脚すみ肉の断面が直角二等辺三角形で、のど厚=脚長×cos45°だからです。cos45°=1/√2=0.7071…で、脚長の大小に関係なく一定です。「7割」という覚え方はこの値の近似です。