直径から回転数・周速を自動計算
切削速度 Vc(m/min)= π × D × N ÷ 1000
回転数 N(min⁻¹)= 1000 × Vc ÷ (π × D)
(D:直径 mm、N:主軸回転数)
「カタログには切削速度80m/minと書いてあるけれど、目の前の機械に入れる回転数はいくつ?」——旋盤・フライス盤・ボール盤を扱う現場で、毎日のように出てくる悩みです。切削条件表に載っているのは多くの場合「切削速度(周速)Vc」で、機械の操作盤に入力するのは「回転数 N(rpm)」。この2つは直径を介してつながっていますが、頭の中で π を掛けたり1000で割ったりするのは面倒で、計算ミスが工具の欠けや焼き付きにつながることもあります。
このツールは、工具やワークの直径と「切削速度」「回転数」のどちらか一方を入れるだけで、もう一方を即座に換算します。加工現場の段取り、機械実習、技能検定や機械加工の試験勉強、見積もりでの加工時間の概算など、回転数と周速を行き来したい場面すべてで使えます。
迷いやすいのは、フライスで「ワークの幅」を直径だと勘違いするケースです。回転しているのは工具なので、入れるのは常に回っている側の径だと覚えておくと間違えません。
切削速度とは「刃先(または外周)が1分間に進む距離」のこと。直径Dの円周は π×D で、それが1分間にN回まわるので、刃先の移動距離は π×D×N になります。Dをmm、結果をm/minにそろえるため1000で割ると、次の関係式になります。
「÷1000」は mm を m に直すためのものです。本ツールは π=3.14159… で計算するため、現場で π≒3.14 や 3.1 を使った手計算とは末尾が数rpmずれることがありますが、加工上の差は無視できる範囲です。
計算例1:回転数を求める(フライスのエンドミル)
直径10mmの超硬エンドミルで、切削速度Vc=120m/minを狙う場合。
N=1000×120÷(3.14159×10)=120000÷31.42 ≒ 3,820 rpm。
もし同じ条件を直径6mmのエンドミルで行うと、N≒6,370rpm。直径が小さいほど、同じ周速を出すには高い回転数が必要になることが分かります。
計算例2:切削速度を確認する(旋盤の外径加工)
外径50mmのS45C丸棒を、機械の都合でN=800rpmで回している場合の実際の周速。
Vc=3.14159×50×800÷1000=125663÷1000 ≒ 125.7 m/min。
逆に、条件表が「Vc=100m/min」を指定しているなら、N=1000×100÷(3.14159×50)≒637rpmに落とす必要がある、と読み替えられます。
代表的な直径と切削速度の組み合わせで、必要回転数のおおよその目安です(小数は四捨五入)。
| 直径 D | Vc=30 | Vc=60 | Vc=100 | Vc=150 |
|---|---|---|---|---|
| 5mm | 1,910 | 3,820 | 6,370 | 9,550 |
| 10mm | 955 | 1,910 | 3,180 | 4,770 |
| 20mm | 477 | 955 | 1,590 | 2,390 |
| 50mm | 191 | 382 | 637 | 955 |
| 100mm | 95 | 191 | 318 | 477 |
表のVcはm/min。直径が2倍になると回転数は半分、というように反比例する関係が読み取れます。
切削速度は「いくつにすべきか」自体が悩みどころです。下表は一般的な外径・正面切削での代表的な範囲の目安で、実際の値は工具メーカーのカタログ・推奨条件を優先してください。仕上げは高め、荒加工や断続切削は低めが基本です。
| 被削材 | ハイス工具(目安) | 超硬工具(目安) |
|---|---|---|
| 軟鋼・一般構造用鋼(SS材) | 20〜35 | 100〜200 |
| 機械構造用鋼(S45C) | 18〜30 | 80〜180 |
| ステンレス鋼(SUS304) | 10〜18 | 60〜120 |
| アルミ合金 | 60〜120 | 200〜500+ |
| 鋳鉄(FC) | 15〜25 | 60〜120 |
数値はm/min。コーティング超硬や専用工具ではこれを大きく上回ることもあります。あくまで概算の出発点として使い、最終的な条件は工具メーカーの推奨値・自社の実績で判断してください。
Q. 切削速度(周速)と回転数は何が違うのですか?
A. 回転数は主軸が1分間に回る回数(rpm)、切削速度は刃先が実際に1分間に進む距離(m/min)です。同じ回転数でも直径が大きいほど切削速度は速くなります。工具寿命や仕上がりを左右するのは回転数ではなく「切削速度」のほうなので、条件管理はVcで考えるのが基本です。
Q. 計算で出た回転数を機械に設定できません。どうすれば?
A. 段付きプーリーや能力上限で計算値ぴったりにできない機械では、計算値より少し低い回転数(安全側)を選ぶのが無難です。回転数を上げる=切削速度が上がる=発熱と工具摩耗が増える、ためです。ただし下げすぎると「むしれ」やびびりが出ることもあるので、近い段を選びます。
Q. ドリルの場合も同じ式でいいですか?
A. はい。Dにドリルの直径を入れれば回転数が出ます。注意点として、ドリル加工は外周と中心で周速差が大きく、中心付近は周速ほぼゼロで「押し付け」に近くなります。径が大きいドリルほど回転数を下げ、送りで切るイメージになります。
Q. 旋盤の端面(フェイシング)加工で周速が一定になりません。
A. 端面加工は刃が中心へ進むほど直径Dが小さくなるため、回転数が一定だと切削速度がどんどん落ちます。NC旋盤の定周速制御(CSS/G96)を使うと、径の変化に合わせて回転数を自動で上げ、周速を一定に保てます(中心付近では上限回転で頭打ちになります)。
Q. このツールで送り速度(テーブル送り)も計算できますか?
A. このツールは切削速度と回転数の換算専用です。送り速度は別式(1刃あたりの送り×刃数×回転数)で求めます。まず本ツールで回転数を確定し、その回転数を送り計算に使う、という流れがスムーズです。