先発登板数に対するQS達成の割合を算出
計算結果は一般的な計算式による目安です。競技のルールや大会・用具の規定により実際とは異なる場合があります。
先発投手の値打ちは、勝ち星だけでは測れません。7回を1失点で投げても味方の援護がなければ勝ちはつかず、5回を4失点でも打線が爆発すれば勝利投手になります。そこで使われるのが QS(クオリティスタート)という考え方です。「先発して6イニング以上を投げ、自責点3以下に抑えた登板」を1回のQSと数え、それが先発登板全体の何%を占めるかを示したものが QS率です。この計算機は、QSの数と先発登板数という2つの数字を入れるだけで、その割合を即座に返します。プロ野球の記録を追いかけている方、社会人・大学・高校のチームで投手の起用を記録している方、あるいは自分の登板を1年間ふり返りたい投手本人まで、紙のスコアブックからそのまま入力できます。
6回3自責点はちょうど防御率4.50に相当します。決して見事な内容とは言えませんが、「試合を壊さず、リリーフに渡せる最低ライン」としてはひとつの区切りになります。QSはエースの華やかさを測る指標ではなく、ローテーションの一角として計算が立つかどうかを見る指標だと考えると理解しやすくなります。KOされて3回で降板する登板が続けば救援陣に負担が積み上がり、チーム全体の失点も増えます。QS率は、その「計算の立ちやすさ」を1つの数字に圧縮したものです。
例①:30先発で20QS 20 ÷ 30 × 100 = 66.666… → 画面には 66.7%。3回に2回はゲームを作れた計算です。
例②:25先発で16QS 16 ÷ 25 × 100 = 64.0%。QSを逃したのは9登板です。
例③:28先発で19QS 19 ÷ 28 × 100 = 67.857… → 67.9%。小数第1位までに丸めて表示されるため、他の資料の数値と末尾が一致しないことがあります。
縦がQS数、横が先発登板数です。「―」はQS数が登板数を超えていて成立しない組み合わせを表します。
| QS数\先発 | 15試合 | 20試合 | 25試合 | 30試合 |
|---|---|---|---|---|
| 6回 | 40.0% | 30.0% | 24.0% | 20.0% |
| 9回 | 60.0% | 45.0% | 36.0% | 30.0% |
| 12回 | 80.0% | 60.0% | 48.0% | 40.0% |
| 15回 | 100% | 75.0% | 60.0% | 50.0% |
| 18回 | ― | 90.0% | 72.0% | 60.0% |
| 21回 | ― | ― | 84.0% | 70.0% |
同じ15QSでも、15先発なら100%、30先発なら50.0%。分母が倍になれば率は半分です。「QS○回」という実数だけを見て投手同士を比べても意味がないのは、この表を見ると一目で分かります。
シーズン序盤、あるいは試合数の少ないカテゴリでは、分母の先発登板数が小さくなります。そのとき1登板の結果がどれだけ率を動かすかを比べてみます。
| 先発数 | QS数 | QS率 | 1回の増減で |
|---|---|---|---|
| 10試合 | 5回 | 50.0% | 10.0ポイント |
| 10試合 | 6回 | 60.0% | 10.0ポイント |
| 10試合 | 7回 | 70.0% | 10.0ポイント |
| 28試合 | 16回 | 57.1% | 約3.6ポイント |
| 28試合 | 17回 | 60.7% | 約3.6ポイント |
| 28試合 | 18回 | 64.3% | 約3.6ポイント |
10先発では1試合で10.0ポイント、28先発では約3.6ポイント。序盤に「QS率70%」と出ても、その中身は7先発中5QSといった程度で、あと2試合崩れれば50%台まで落ちます。5〜6登板の段階の数字を根拠に評価を固めるのは早計で、15登板を超えたあたりからようやく傾向として扱える、という感覚が現実的です。
よく語られる目安は6割前後で、このツールの表示にも同じ趣旨の文言が置かれています。ただし絶対的な基準ではありません。試合数、リーグの得点環境、球場の広さ、リリーフ陣の厚さ、そして継投の方針によって適正水準は変わります。中学・高校のカテゴリでは球数管理や大会日程の都合で6回未満の降板が計画的に選ばれることもあり、その場合QS率は本人の内容と関係なく下がります。
投球の中身まで踏み込むなら、9イニング換算の失点ペースを出す 防御率(ERA)の計算(自責点の多さを測る指標)と、1イニングあたり何人の走者を出したかを見る WHIPの計算(走者を背負う頻度を測る指標)を併用すると輪郭がはっきりします。QS率が高いのにWHIPも高い投手は、走者を出しながら粘って試合を作るタイプ、といった描き分けができます。
Q. 6回2/3を投げて自責点3ならQSですか?
A. QSです。条件は「6イニング以上」なので、6回ちょうどでも6回2/3でも満たします。逆に5回2/3で自責点0の場合はイニング条件に届かず、内容が良くてもQSにはなりません。
Q. 失点3ならいいのでは?
A. 基準は失点ではなく自責点です。味方の失策が絡んだ得点は自責点から除かれるため、4失点でも自責点3ならQSが成立します。数える前に自責点欄を確認してください。
Q. 救援登板でも6回3自責点ならカウントできますか?
A. できません。QSは先発登板だけを対象にした指標です。分母の「先発登板数」にも救援は含めないでください。
Q. QS率が高ければ勝てますか?
A. そう単純ではありません。得点力、守備、救援陣、対戦相手など勝敗を決める要素は多数あります。QS率は先発の安定度を見る材料のひとつで、勝敗を保証するものではありません。数字だけで投手個人を評価しないでください。
Q. QS率を上げるために登板間隔を詰めたり球数を増やしたりすべき?
A. 登板間隔・球数・連投の可否は、故障のリスクに直結する領域です。適切な負荷は年齢・成長段階・体格・コンディションによって大きく異なり、この記事で一律の推奨はできません。判断は必ず指導者と医療専門家に委ねてください。肩肘に痛みや違和感があるとき、体調がすぐれないときは、記録のために投げ続けないでください。
Q. 途中で雨天中止になった登板はどう扱いますか?
A. 公式記録として成立した試合かどうかで扱いが変わります。記録上の先発登板として残るなら分母に含め、成立していなければ両方から外す、という整理が一般的です。集計方針をメモに残し、シーズン途中で変えないことが大切です。